2019/06/13
「人の値打ち」という詩を見つけました。
ずいぶん以前のものですが
時代を越えて言い得ているように思います。
「見た目9割」のような本もあるけれど
そういう時代であっても
目に見えない大切なものを見極める心の目は曇らせないでいたい。
そう思わせる内容です。
人の値打ち (江口いと)
何時(いつ)かもんぺはいて
バスに乗ったら
隣座席の人は
私を おばはんと呼んだ
戦時中よくはいた
この活動的なものを
どうやらこの人は
年寄りの着物とおもっているらしい
よそ行きの着物に羽織を着て
汽車に乗ったら
人は私を奥さんと呼んだ
どうやら人の値うちは
着物で決まるらしい
講演がある
何々大学の先生だと言えば
内容が悪くても
人々は耳をすませて聴き
良かったと言う
どうやら人の値うちは
肩書きで決まるらしい
名も無い人の講演には
人々はそわそわして帰りを急ぐ
どうやら人の値うちは
学歴で決まるらしい
立派な家の娘さんが
部落にお嫁に来る
でも生まれた子供はやっぱり
部落の子だと言われる
どうやら人の値うちは
生まれた所によって決まるらしい
人々はいつの日
このあやまちに気付くであろうか