アイデンティティ構築の方向性

アイデンティティ
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ここでは、アイデンティティ構築の方向性について綴ります。

自分のアイデンティティであっても社会の中では好きなように確立できるものではありません。鏡を通してしか自分を確認できないように私たちは、他者の評価や反応を通じて自分自身を知ることとなります。

その人の核となる本質的な自己であるアイデンティティは、重要なものでありながら常に誇示し続けるものでもないように思われます。私たちは自分を見つめながら、アイデンティティの表現を調整できるもの…という考え方です。

アイデンティティの表現を調整することも可能なのでは?

社会人としての役割の中では、他者の期待を読み取ったり、適応的な態度でいることは大切だと考えられる一方、下記のような意見もあります。

社会学者のリースマンは、現代は他人指向型と説いています。
これは、同時代の人たちが抱く期待に敏感に反応しやすい傾向をさし、手近にある目標(流動し変化しやすい)に従うことが多いことが特徴です。周囲に調子を合わせ、その反応にまた反応し自分の言動を合わせる。このような順応性も大切ですが、その考え方が強くなり過ぎると、自分の中の「私」の領域が小さくなりアイデンティティが損なわれてしまうおそれがある…という考え方です。

急速な変化を伴う今を生きる私たちは、前の世代の生き方や価値観をそのままモデルにすることが難しい時代に生きていることも上記の起因ともなっています。
そこで私は、複雑さが増す今の時代、友人の前、職場で、家庭で…それぞれ役割葛藤を起こすことなく、アイデンティティの表現方法を適度に調整することで生きやすさにつなげることができるのではないかと考えました。

何も、見せかけの自分を演じるという意味ではありません。

その役割(期待)ごとでキャラクターに一貫性を持たせてはどうか?…という提案です。
心地よい居場所を確保するため自分を創造できれば良いのではないか?

・ 家族に対して、姉なら姉らしさで、母なら母らしさで
・ 同僚に対しては、仕事を通じて在りたい自分で
・ ママ友に対しては、子どもを通じて在りたい自分で
・ 友人に対しては、普段より少しゆるんだ自分で
・ 親密な友人の前では、かなりゆるんだ自分で

……など、このような場面設定は誰しも自然に行っていると思います。
この中でも、その場面ごとで心地よく居るためにアイデンティティ(自分の軸)をこれらのキャラに乗せて印象付けることができれば良いのではないでしょうか?
社会の中で役割をこなす為には、信頼を受けながら一貫したパーソナリティを周囲に示せるということは大切です。周囲の言動によってコロコロと思考を変える人よりも一貫した考えが態度に表せる人が信頼を得られます。
そうすることによって自ずと適応的なアイデンティティも形成できていくはずです。
これは一時期に留まらず、人生を歩む中で役割(期待)が移行する時には、ついて回ることです。役割キャラを通してアイデンティティを示すことを意識してみるとちょっと楽になるかもしれません。

 


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