言っていることと、態度が逆になっていて、言われた側はどうしたらいいかわからない。飲み込めないメッセージに違和感が湧く表現。
・「怒らないから正直に話しなさい」と言いながら顔は怒っている
・「大丈夫です」と言いながら苦しそうにしている
・「今日は何でも食べていいよ」と言いながら、
言った本人が極端に安いものを注文する
こんな矛盾したメッセージを受けた経験、
逆に発した経験はないでしょうか?
このように、2つ以上の逆のメッセージを含む屈折した表現をダブルバインド(二重拘束)と言います。大人になると直接的には伝えられず、無意識の内に発している…..ありがちなことです。
そこで、無意識の発信を意識化に繋げるために、この表現の影響とこれらのメッセージを発してしまう理由を分解してお伝えします。仕組みを知っておくことで自分で気づく機会も増えてきます。加えて対処の方法についてもお伝えします。ご自身を振り返りながらお読みください。
ダブルバインド(二重拘束)の影響
逆になったメッセージを同時に受け取るのですから、混乱し、どうしたらいいかわからなくなります。それによって、心の自由や身体の自由が奪われた状態になります。
….というのも、
わかりやすい形(声に出す)で表現された内容より、
わかりにくく態度で伝えられた内容の方が胸に届くからです。
1)怒らないから正直に言いなさい
≫≫怒ってる、こわいなぁ、どうしよう
2)「大丈夫です」と言いながら苦しそう
≫≫苦しそうなんだけど「大丈夫」って?
手を貸さないほうがいいの?どうしよう
3)「何でも食べていいよ」って
≫≫一番安っすいもの注文してる
高いもの注文したいのに….どうしよう
要するに
ホンネとタテマエを同時に受け取った相手はどちらのメッセージに従えばいいのか困ってしまうわけです。しかし、大人になるとどちらのメッセージが本心かだいたい検討がつきます。そこで、困ってしまう人というのは、気の弱い人、また弱い立場にある人が多いようです。
例えば
親子、上司部下、DV関係にある夫婦などです。
立場の強い方が
ダブルバインドの表現を受けた場合、本意をキャッチして、そちらに対応することは難しくありません。
でも、立場の弱い人は
そうは行きません。困ってしまうし、回を重ねるごとに自分が悪いのかも….と思ってしまい、よりいっそう立場を弱めてしまうこともあります。
ダブルバインドをやってしまう理由
やってしまった経験がある人は、自身を振り返ればわかると思います。
本来、言葉にしているメッセージの人格を装いたいのです。
1)「怒らないから正直に話しなさい」
≫≫怒らず穏やかな人でいた方がいいと思っている
2)「大丈夫です」と言いながら苦しそう
≫≫大丈夫な平静な自分で居たい
3)「今日は何でも食べていいよ」とご馳走を振る舞う
≫≫気前が良いと見られたい
…..というように
見られたい自分像があるため、屈折した表現になってしまうようです。
ダブルバインドへの対処
▼受ける側の人
相手の本音を読み取り、従うようなフリをしながらも、受け流すことができ、しんどくならない程度なら、時にはアリかと思います。しかし、受け続けている人は要注意です。自分を抑え、相手の顔色を見すぎることで自分の感情がわからなくなるからです。
まずは
第三者に話してみましょう。客観的に振り返えり、あなたが悪いわけではないことを確認すると、少し力も湧いてきます。そうして、自分の感情を振り返り、自分は何を言いたかったのか、したかったのか?と自分の気持ちに心を向けていきましょう。
▼やってしまう人へ
DV加害者や、立場を利用している人のように、故意に相手を拘束する目的の場合は別として、ついついやってしまう人…というのは「こう在りたい自分」を装い、気づかず発していることが多いです。それでも、少なからず、気持ちがスッキリせず自己欺瞞的な自分を見つけることがあると思います。
上記の他にもこんなメッセージもありがちです。
・「好きなようにしなさい」怒りながらと言う
・受験生に対して何をしても大して怒らない担任が、内申を厳しくつけている事を生徒にチラつかせる
・妻に「子育て全部を任せる」と言っている夫が、子どもの素行が悪くなると妻をなじる
自分の中の違和感に気づいた時は、ぜひ自分は本当はどうしたかったのか?を振り返ってみる。そして、できるならば、相手と気持ちを分かち合えるといいでしょう。
改編
2021年12月13日