・自身の病み
・夫婦の病み
・親子の病み
・家族の病み
・職場での病み
受け容れがたい病みの部分を抱えながらも生き続けなければならないことがあります。でも、それが抱えきれないほど大きくなると、人生を放り出したくなる。生きているとそんな道のりを経験することがあります。
そのような時でも、この考え方ができると乗り越える勇気が湧いて来る…というお話をお伝えします。
「病み」という響きはつらいイメージですが、捉えようによっては格好の転機ともなる人生マジックなお話「創造の病」についてです。
創造の病
これは「クリエイティブイルネス」とも呼ばれ、人生を発展的に創造する上で負った「病」を装って現れたチャンスのことです。
この考え方は「無意識の発見」という著書で知られる精神医学者エレンベルガーの研究によるものです。日本では、心理学者(故・河合隼雄氏)によって広められました。ここでは河合氏の解説をもとに私なりの解釈をお伝えしていきます。
研究の中で目に留まったのが、芸術家などクリエイティブな仕事を遺した人の人生についてです。彼らの過去をたどると、病の後には大きく人生が変わった様子がうかがえます。
どんな人の人生がかわったの?
まずは、
生き方が変わるほどの変貌を遂げた人物の中には、フロイト、ユング、私たちのよく知るところでは夏目漱石がいます。
心理学の大家フロイトは神経症、ユングは統合失調症、夏目漱石は胃潰瘍を患った後「こころ」を執筆するなど、作風がガラッとかわりました。苦しく厄介に感じられる心身の病を相当なエネルギーを使いながら受け留め創造に繋げた人たちです。
※その頃の胃潰瘍は、現在のように簡単に治癒する病ではなかったようです。
特別な才能を持った人だけ?
病によって人生の変化を遂げるのは特別な才能を持った人だけなのか?について、河合氏の説く「“創造の病”は誰にも起こりうること」というお話につなげていきます。
自分の内側で起こること、また 一見自分には全く非のない所から降りかかってきた災難であっても立ち向かわなければならないこともあります。例えば 大不況(リーマンショック)やコロナの影響では、多くの人がストレスを抱えることになりました。
ただ、みんながみんな、打ちひしがれることになったでしょうか?
いや、そうでもなかったようです。工夫で乗り切った人や全く別の職に就いた人、それによって自分の可能性を拓いた人…さまざまです。
抱えがたいことが起こった時、私たちの行動には「逃げる」か「受け留める」かの2通りしかありません。そんな時、積極的に受け留める方を選び創造への道へ繋げていく…というのが「創造の病」の考え方です。
つらいことが起こっているその瞬間は耐え難いほどの苦しみに感じるけれど、後で振り返るとそれは、人生を拓き、大きく前進するキッカケになる役割を果たしていることが多いです。
例えば、
・大切な人と不仲に陥った時、
これを関係を見直すために罹った「病」と捉えられるとどうだろう?
相手を責め、文句を言うのではなく、話し合いの場を持つという創造的な言動につなげてみる。話し合いを切り出すこと自体難しいことなので、すでに積極的な創造行為です。そして、そうすることで、二人の関係性を見直すことに向き合い、変化へのチャンスになるのではないかと思います。
・不況により減給を言い渡された時、
これを人生を見直すために罹った「病」と捉えられるとどうだろう?
政治や会社を恨み文句を言い続けても道は拓けない。それなら….と自分の希望、できること相手の態度、環境の変化をどう捉えるかは人それぞれで、人との比較で不安になることがあるかもしれない。でも、これは自分が主役の人生の中で積極的に行う心の作業です。孤独な感覚につらくなることがあるかもしれません。だたこれを「新しい自分を産み出す創造」のために与えられた機会だと捉えられるとどうでしょう?キャリアの転機に発展することは間違いないと思われます。
何を創造するのか….?
冒頭でもお伝えした「人生」です。
生きている限り「食べる+働く+寝る」を繰り返していれば人生は創られ生存状態は続きます。でもここで言う「創造」はただ「生存する」のではなく、積極的に自分主体で「生きる」ことです。
窮地に陥った時こそ、この思考を思い出せると俄然勇気が湧いてくると思えてきませんか?
「つらい(>_<)…..でも、これは創造の病かも」
….と、この視点を思い出せると、苦しさの出口が見え、差し込む光が感じられる。
他人からどう観られるかに気を取られず、積極的前進(創造)のために起きた「病」に向き合っているのだ….という自覚は、私たちを大きく支えてくれます。
公開:2015年07年04日
改編:2021年12月14日